認知症で、食事量が減っているご利用者様
だんだんと、食事量が減っていくご利用者様
「食べて欲しい」その願いで、周りはいろいろと
好きなものを何でもいいから食べて欲しいと思い
ご家族様が手作りで作ってくる。
このご家族様に会って、好きな物を思い出して召し上がってくれる。
このパターンになってほしいが中々これもうまくいかない事があります。
そうすると、介護職員が介助で声かけをして
根気よく対応する事が大切になってきます。
ご本人様も負担だが、これをあきらめてしまうと、食事量が更に減るので
なんとか、食べてくれる方法を探らなければいけません。
その際に、私が現場で感じた気を付けたほうが良い点をまとめました。
1.誤嚥性肺炎に気を付ける。
大声を出したり、拒否で体を後ろに沿ったりして
顎が常に上に上がっている状態や、ご本人が口に食べ物を入れる予定がないのに
介助で食事を、口に入れられると反射的に、噛まずに飲み込んだり
喉につっかえたりする事が多いんです。
食欲がなくて、口を開かないご利用者様も同様で、急に口に入れて
口を動かさない状態も、すっと口腔内に食事が残っているので
何かのタイミングで飲み込んだりと、危険があります。
喉ぼとけが「ごっくん」と唾をのみ込むようにしっかりと動いくことを確認して
口に食事を運ぶことがとても大事になります。
2.食事を多く摂取させることが目的となる。
介護職員は、食事介助の30分以内にどのくらいの食事を摂取させることが
できるかに、重点を置いて、次々に口に食事を入れて、
良い方が少し悪いのですが「食べさせる」介助をする方がいます。
ご利用者様が、召し上がってくれたとしても、しっかり咀嚼や嚥下ができてないと、
誤嚥性肺炎の元になります。
3.食事の前後で寝かせている。
認知症でご自身で、徘徊したり、大声を出したり、何かに手を上げる行動をするご利用者様は、介護職員が個別で対応できない時は、ご本人様の安全確保のためにも、
ベッドで寝かせる事が多くなります。
食事前後も寝かせていると、食事後は、おなかがいっぱいの事もあり、
すぐに寝てしまう方が多いです。
しかし、嚥下がしっかりできず、食べ物が喉に残っていると
誤嚥性肺炎になる可能性が高くなります。
以上の3つ共に、「誤嚥性肺炎」のリスクの話です。
そうなんです!
食事介助をする際に、どうしても誤嚥性肺炎のリスクは避けられず、
そして、他の病気で入院しても「誤嚥性肺炎」が死亡原因の方も
多く見られます。
私たちは、生きるためには食事をすることが大切で、
お年寄りの場合も、できるだけ口から摂取してほしいと願うんです。
でも、この口からの摂取を間違ってしまうと、命取りになります。
では、どうしたら避けられるのでしょうか。
①できるだけ傾斜をつけて、顎を引く。
車椅子や、椅子などの背もたれを、90度より大きく後ろに倒します。
100度ぐらいが目安です(人によって異なります)
滑り台と一緒で、坂になっていると食事がスムーズに落ちやすくなります。
90度にしない理由は、口から食事が入ると、途中で2つの道に分かれます。
前側が肺。後ろ側が胃へ通じる道。
90度以上にしていると、自然に、後ろの道に食事が滑るように移動してれるの
誤嚥性肺炎のリスクを減らせます。
②できるだけご自身でスプーンを持って口に入れていただく。
ご自身で口に入れる事で、脳から口に指令がいきます「口に物が入る➡咀嚼」
そのことで、自然に口が動き、唾液も出ます。
介助で突然口に入れると、ご本人様が何が起きたか状況を把握できずに
反射的に、飲み込んだり、びっくりしたりして、誤嚥する可能性が高くなります。
③食べ物を目で見せて、声をかけて、下唇に少し触れて
「いまから食事が口に入るよ」と合図をする。
介助する時に、とても大事な手順です。
「ごはんですよ」と目で見せて、メニューを伝える事で
イメージしたり、口に入れる準備をしたりできます。
唇に触れる事で、下唇も味を感じたりすることが出来、唾液も出やすくなります。
そのほかに、
食事前に口腔体操や、口腔(顔)マッサージをしたり、
食事のメニューが見渡せる座らせ方をする・・・
自分が食事をする気持ちになって
もし介助されるなら、メニューも分からず、突然口にどんどん入れられたら
どんな気持ちか?と考えると、どうしたら食べやすいかな?と思いを巡らせることができます。
ペーストの食事形態の方は、
とくに何が出ているのか、介助側にも分からないことが多いんです。
グリーンのペーストだけど、ほうれん草なのかブロッコリーなのか???
触感もないので、味も薄めなことが多いです。
ペーストの食事形態の時ほど、しっかりと、何を食べているかを伝える事が大切になってきます。
「この人と食事をすると安心」「教えてくれるから美味しい」と
信頼関係を気づいていくと「もう少し食べてみましょう」という
お願いも聞いてもらえたりします。
食事介助。
最後にとても、とても大切な事
それは、「胃ろうの」に踏み切るタイミングも大事です。
食事をする側、介助する側
誤嚥性肺炎のリスク。水分摂取量や食事摂取量が少なくて
元気がなくなっている。尿も便も減っている。もしくは下痢や便秘が続く。
こういった場合は、水分点滴で体を楽になると、食事摂取量が増える事がありますが、
「上記のリスクを避けて長生きしてほしい」ということであれば
少し体力のある内に、胃ろうに踏み切る事が大切だと思っています。
弱り切ってからの胃ろうは、ご本人様も負担で、場合によっては
胃ろうの手術で死亡してしまうケースもあるからです。
いろいろ書きましたが、
食べるって、一番の介護の目的だと思っています。
だって、施設に入って、外出できなくなって
一番の楽しみは、食事だし、そして、周りの人とのかかわりだと思うんです。
いつまでも、元気に長生きしてほしい。
大好きな大好きなご利用者様、一人ひとりが私の親だと思って
愛して愛しています。